研究について

主な研究テーマは,計算社会科学に基づく社会システムの設計と人工知能の社会応用です.
社会や集団など人が大勢集まることによって構成されるシステムを対象として, マイニング・モデリング・デザインを研究の柱とし, よりよい社会システムを実現を目指す研究を行います.

Fig.1 研究における三つの柱

マイニング

マイニングとは,大量のデータから意味のある情報を抽出する技術です.
近年ではビッグデータと呼ばれる大規模なデータが入手可能となり, 従来では明らかにならなかったような事象を大規模データの力によって得ることができるようになってきました.
本研究室では,データマイニング,機械学習,統計処理,パターン認識などデータサイエンスの技術を応用して, 様々なデータからの知識の抽出を目指しています.

マイニングの主な対象は,大規模社会データです.

データサイエンスに関する高校生向けオープンキャンパスの資料が以下にあります.
Are you Sexy?~データサイエンス入門~

以下は大量のチャットデータを用いた「ネットコミュニケーションにおけるリスク分析」のスライドです.

ネットコミュニケーションにおけるリスク分析 from Fujio Toriumi

モデリング

モデリングでは,社会の状態をコンピュータの中に再現し,シミュレーションを行います.
コンピュータシミュレーションと聞くと,現実社会をコンピュータの中に丸ごと取り込んで, 将来を完璧に予測するようなシステムを想像するかもしれませんが, 現在の社会ではそのようなシミュレータを構築することは不可能です.
物理シミュレータなどは,かなりリアルなレベルでの予測が可能ですが, 人間が絡む社会システムでは,現実そのものを完全に計測することができないため, シミュレーションには現実と合わない部分が必ず出てきてしまいます.
そのため,社会のモデリングではできるだけ単純なモデルを用いて, 調べたい社会のエッセンスだけを取り出したモデルを構築することが必要となります.
一般にシミュレーションのレベルは,
  1. AbstractModel
  2. MiddleRangeModel
  3. Facsimile Model
の三段階に分けられます.

Fig.2 モデルのレベル
この中で,抽象度の高いAbstract Modelと,現実社会の問題を解決するためのMiddleRangeModelを対象として モデルの構築を行っています.
モデルの構築には,マイニングで得られた知見を利用した逆シミュレーションを使い, 現実と矛盾しないモデルの構築を目指しています.

Fig.3 逆シミュレーション

デザイン

モデリングによって作成された社会モデルを用いて, 新しい社会システムのデザインを行います.
現在社会には新しい技術が次々と投入され発展している一方で,新しい技術による影響を正しく予測することができず, 問題が発生することが多くあります.
また,大震災のような滅多に発生しない突発的な,それでいて重要なイベントが発生したときに, 社会システムが正しく動くための条件は明らかとなっていないことが分かっています.
そこで,シミュレーションによってあらかじめ新しい技術や制度の導入,突発的なイベントの発生などがどのような影響をもたらすのかを 明らかにし,頑強な社会システムの実現を目指します.
これによって,想定外をなくし,よりよい社会が実現されることを期待しています.

以下は,ソーシャルメディアをゲーム理論でモデル化し,情報が投稿されるソーシャルメディアに必要な条件を明らかにし,デザインに役立てようという研究の紹介です.
第3回ソーシャルコンピューティングシンポジウムでの資料です.

SNS とゲーム理論 ~人はなぜ投稿するのか?~ from Fujio Toriumi

現在進行中のプロジェクト

社会とソーシャルメディア

ソーシャルメディアは人々の生活を豊かにする一方で,様々な社会的リスクをもたらす危険性を持ちます. たとえば,デマや炎上は日常的に多発していますが,これらを人為的に止めることは難しいのが現状です. このようなデマや炎上と行ったリスクを伴う現象がなぜ発生するのか,また,どのように発生し どのように広まっていくのかを明らかにし,その対策をどのように行えば良いのかを明らかにしていきます.

また,東日本大震災をきっかけとして,Twitterをはじめとするソーシャルメディアが情報共有に利用されるようになりました.
今後はTwitterに限らず,その時々で利用されているソーシャルメディアが災害などの緊急事態の情報共有に利用されるであろうと予想されます.
そのため,今後災害が起きたとき,ソーシャルメディアを利用して効率よく情報を伝達するためにも, ソーシャルメディアにおける情報拡散がどのように行われていたかを分析する必要があります.
たとえば,Twitterの構造そのものが情報伝達に適した形に変化していたことを明らかにしています(Fig.2参照).
そこで,大震災時のTwitterの利用状況を分析することで,災害時に人々がどのようにソーシャルメディアを活用していたのか, そしてソーシャルメディアそのものの性質がどのように変化したのかを明らかにする研究を行っています.

本研究プロジェクトでは以下のようなテーマが研究されています.


Fig.2 東日本大震災前後のTwitterにおける情報伝播ネットワークの変化

時空間データ分析

IoTの時代,ネット空間だけではなく実空間における人間の動きも大域的に追跡することが可能となってきました. 様々な人々がどのような動きを見せているかを分析することで, 実空間における社会システムの設計が容易になります.
たとえば,海外からの観光客がどのような行動をしているのかを分析することによって, 新たな観光地の発見や,これまで注目されていなかった地域への誘導などが容易になると期待されます.

本研究プロジェクトでは以下のようなテーマが研究されています.


観光地の抽出

複雑ネットワーク科学

複雑ネットワークモデルは,様々なモノ同士の関係を表すのに適したモデルです. 特に,社会における人間やシステムの複雑な関係性を表現するためには欠かせません.
本研究室では,大規模社会データ分析の基礎的技術として, 複雑ネットワークモデルの基礎的研究を行っています.
特に,これまでのモデルでは表現できなかった関係を説明可能になるような新しいネットワークモデルの構築に力を入れています.


MultiLyaerNetworkを利用したネットワーク生成モデル

社会におけるAI応用

人工知能の技術は,今後様々な面で社会に貢献していくと考えられます. 我々は,社会における様々な場面にAIを応用していく方法を模索しながら, 人間が持つ知能をコンピュータが獲得するにはどうすればよいのかを模索していきます.
たとえば,ソーシャルゲームなどが盛んになり,多くの人がプレイしています. ソーシャルゲーム,コミュニケーションゲームなどは現実の社会から離れ独自の社会を形成しています. さらに,ゲームを行うとき人間は他のしがらみから解放され,自分が本当に行いたい行動を行っていると考えられます. 従って,そのような小さな社会において人々がどのような行動を行っているのかを明らかにすることで, ゲーム社会の構造だけではなく,社会の本質的な性質を明らかに出来ると期待しています. また,コミュニケーションゲームをプレイできるようなAIを設計することで, ゲームの楽しさとは何かを明らかにしていくことも,目的の一つです.
それ以外にも,医療や観光情報の分野への人工知能技術の応用を行っています.


ゲームの面白さの分析

以下のスライドは,人狼知能について解説した資料です.
人狼知能コンテストとは何か
AI Wolf Contest -Development of Game AI using Collective Intelligence-

以下のスライドは,「人工知能は小説を書けるか」報告会で使用したものです.
「人工知能は小説を書けるか」 星新一賞への応募報告会

プロジェクト

当研究室では以下のプロジェクトに参加し,上記テーマと関連して研究を行っています.

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